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日常から非日常へ 【薄桜鬼】

第18章 島原でのひととき


慶応二年、九月。
秋になってもまだ少し暑い。
俺は屯所内にある台所-ここでは厨ってのか?-で、一人悶々としてたら千鶴ちゃんに声をかけられた。
さっきの聞かれたかな?

「も、もしかしてどこか体調悪いの?」

オロオロとし始めた千鶴ちゃん。

「大丈夫だよ、ちょっと暑くてさ。ここで涼んでた。」

「…そう…なら、良いんだけど…無理はしないでね?」

やばい可愛いなんだこの子は…っ!

「ありがとな…。ところで千鶴ちゃんはどうしてここに?」

今日って千鶴ちゃん当番だっけか?

「あ、うん。原田さん達の組がこれから制札警護だからお茶をお出ししようと思って。」

ドキッ…

な、なんだ今の…?

「…そ、そっか、今日は左之さん達の組の番だったか。」

ふた月程前、将軍である家茂公が亡くなった。
その後、禁門の変に端を発した第二次長州征伐が幕府軍の大敗北で終結。
その為幕府は長州藩が朝敵なのを知らしめるのに三条大橋のたもとに制札を立てたんだ。
だけど、最近その制札を引き抜いて鴨川に捨てた人がいて、立て直してもまた引き抜かれたから、新選組に制札警護が下ったんだ。

「そうだ、潤も手伝ってくれないかな?」

「へっ、な、何を?」

「お茶を運ぶのなんだけど…都合、悪いかな?」

上目遣いで頼まれた。
もうやだ何この子可愛すぎ。
俺一日に何回言うんだろ、まあいいや。

「うん、いいよ。千鶴ちゃんの頼みだ、引き受けたぜ!」
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