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日常から非日常へ 【薄桜鬼】

第15章 鬼、再び


「ふん…将軍の首でも取りに来たかと思えば、こんなガキ共に一体何の用だ?」

土方さんは刀の柄に手をかけながらそう訊ねた。

「将軍も貴様らも、今はどうでもいい。これは、我ら鬼の問題だ。」

「鬼だと?」

その言葉に俺は反応する。
千鶴ちゃんは、この世界の人だから分かるけど…どうして、俺も鬼だと…。


ふと上げた視線の先で、風間さんがゆっくりと刀に手を伸ばす。
風間さんと一緒にいた他の二人は、左之さんと一君が戦っている。
次の瞬間、激しい剣戟音に身体が震えた。

「その必要はない。君達はこのまま俺と屯所へ戻れ。」

いつの間にか二人とも刀に手をかけようとしていたらしい。
牽制する手と押し殺したような声にハッとなる。

「山崎君…。」

妙な気配を感じ、振り返る。
鍔迫り合いの体勢のままこちらに視線を送る風間さんと目が合う。
土方さんがそれに気づいたのか、風間さんを押しのけ視線を遮るように立ち位置を変える。

「武士気取りの田舎者が。…よくよく邪魔をするのが好きとみえる。」

「てめぇらは、なんだってこんなガキ共に用がある…!?」

「千鶴と潤はお前たちには過ぎたもの。だから我らが連れ帰る…。特に潤は俺達が保護する必要がある、それだけだ。」

「…っ!?」

「どういう…意味だ!」

そう問いかけると同時に土方さんは再び風間さんに挑みかかる。
月の下、気づいたら左之さん達が俺達の左右でそれぞれの相手と戦っていた。
退路を断たれ、その場で皆を見守る形になる。
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