第14章 不思議な少女
「わっ…!お、沖田さん!?」
「いいから。横に立って。」
「総司くん…?」
いきなりの事に驚く千鶴ちゃをよそに、薫さんの隣に並ばせる。
「やっぱり…よく似てるね。」
「…。」
そう言われ、千鶴ちゃんが隣の薫さんを見る。
薫さんも、同じように千鶴ちゃんを見てゆったりと微笑んでみせる。
俺がちょっとした葛藤に苛まれているときに、無遠慮にじろじろと二人を見ていた平助が
「そっかぁ?オレは全然似てないと思うけどなぁ。」
「いや、似てるよ。きっとこの子が女装したらそっくりだと思うな。」
「あ…あの…。」
ほら困ってるじゃん千鶴ちゃん。
すると、薫さんは千鶴ちゃんから視線をはずし、総司くんに向き直り
「もっときちんとお礼をしたいのですけれど、今は所用がありまして…ご無礼ご容赦下さいね。」
そしてもう一度優雅に一礼して
「このご恩はまたいずれ…。新選組の沖田総司さん。」
着物の裾を翻し、通りの賑わいの中へ消えてしまった。