第14章 不思議な少女
「おいおい、ありゃ総司に気でもあるんじゃねーの?」
平助が総司くんの脇腹を肘でつつきながらからかいの声をあげる。
「今のがそう見えるんじゃ、平助は一生、左之さんとかには勝てないよね。」
「ど、どう言う意味だよ!?」
小馬鹿にしたような笑みを浮かべ、さっさと歩き出した総司くんを、平助が追っていく。
俺は考え込み、千鶴ちゃんは足元の水溜まりを覗き込んでる。
「千鶴、潤!帰ろうぜー!」
「あ、はい!…潤、いこ?」
「えっ?あ、おう!」
平助の声に千鶴ちゃんが反応し、俺も千鶴ちゃんに呼びかけられて返事をする。
…薫さんって、確かすごく重要な存在だったと思うんだけど…何だっけ…?
差し伸べられた手を握り返し、俺と千鶴ちゃんはみんなの元へ。
俺は漠然とした気持ちを抱え、屯所へと戻っていった。