【トリップしたけど…】テニスの王子様【どうするの?】
第27章 君は誰。
目前まで来た車。私は瞳をつぶり皆の顔を思い浮かべる。私の目からひと粒涙が出た。
そんな時きこえた声。
「……大丈夫。もう大丈夫だよ」
その声にハッと目を開き迫り来る車を見ると、滑ったかのように方向転換をする車が見えた。
そしてその車の行く先にはルカちゃん。
驚き逃げようとしたルカちゃんは転び、まるで何かに足を掴まれているかのように動けないでいた。
待ってよ……。嘘でしょ?嘘っていってよ……。
『いやあああぁぁぁ!!!!』
私は道路で叫んだ。周りの人が救急車を呼ぶ。動けない私を大人が持ち上げ歩道に移動させてくれた。
ルカちゃんの姿は見えない。車の下敷きになったらしい…。
「ほらね…?」
え?声のした方を振り向けば、そこにいたのは同じくらいの年の少年。
白い綺麗な髪は太陽の光で輝き、赤く宝石のような瞳は私を捉えている。
「君に害を及ぼす人間は僕が排除する。
君はもう死なせない。
待ってて…。
少し時間がかかりそうだけど、必ず迎えに行くから」
『だ…れ……?』
「あれ?覚えてないの?
あそっか、僕がやったのか。
まあその内思い出すよ。
時が来れば…ね」
少年は私に微笑むとその姿を消した。
こうして訳もわからず時間は過ぎていった。