• テキストサイズ

【トリップしたけど…】テニスの王子様【どうするの?】

第10章 氷枕と熱い顔。





目を開けぞんじゃん。
精市だから本当に分かったのかと思ったのに。
流石にそれはないか。


精市がクスクスとおかしそうに笑う。
女の私より綺麗てどんなんだよ。
悲しくなるわ。



「熱中症?
大丈夫なのかい?」


『多分ね。
寝てたからだいぶと楽。
でもなんか顔が暑い…』


「確かに赤いね。
少し待ってて」



精市はそう言って私から離れると、なにやらゴソゴソと何かをしている。
しばらくして、その手に氷枕を持って近付いてきた。



「これで少しはマシになると思うよ」


『ん。
ありがとう精市』


「でも、その前に…」


『へ?』



精市の顔が近くにある。
思わず目をつぶると、額に感じる柔らかさと温かさ。
ついでに良い匂い。


私ってもしかして変態!?
いやいやそこじゃなくて……。


顔に熱が集まるのが分かる。
目を開けると、精市がにこやかに微笑んでいた。



『な、何して…!?』


「ちょっと悔しくてね。
でも、丸井の時より顔が赤くなって嬉しいよ」


『なっ!?』


「ふふっ。はい氷。
体育祭もうすぐ終わるから、それまで休んでて」


『えぇ!?
私もう行けるよ?』


「ふぅ…。
ねぇ花奈、今のは命令なんだけど?」



やばい、黒魔王降臨してしまった。
急いで頭をこくこく上下運動させる。



「分かってくれて良かったよ。
後で迎えに行く」



ふわりと頭に手を置かれ、つい目をつぶってしまう。


あんまり身長に大差ないのに、やっぱり男の子なんだよね…。
乗せられた手が大きくて少しドキドキする。



「……それって分かってやってる?」


『へ?なにが?』


「……なんでもない。
じゃあまた後で」


『え!?あ、うん?』



精市が出ていくまでその後ろ姿を見つめる。


あーあ!
せっかくの体育祭なのに残念。
まあ、しようがないよね。


私は深くため息をついた。










/ 76ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp