• テキストサイズ

【トリップしたけど…】テニスの王子様【どうするの?】

第9章 私たちは中学生。





あ…。でも精市の勇姿を見たい。
せっかくリレーのアンカーなんだし。



『ブンちゃストップ!
少しだけ、待って…。
精市のリレー見たい…』


「はぁ?
んなこと言ってる場合かよぃ」


『お願い…。
少しなら大丈夫だから…』


「…っ!
……分かったよ」


『ありがとう』



ブンちゃんは少し周りをキョロキョロすると、運動場が良く見える木陰に私を降ろした。
その隣にブンちゃんも腰をおろす。



「位置についてー、用意………」


“パンッ!”



1人目の人が勢い良く走り出す。


私たちのクラスは今、1番前を走っている。
弦くん達のクラスはその後ろ。
順調にバトンは渡されていく。


でも、バトンが蓮二に渡された途端、順位は変わった。


やっぱり早いな…。
一緒に走ってるの陸上部でしょ?



「あっ!
お前のクラスの奴、転んでんぞ?」


『え!?……ホントだ。
大丈夫かな。
次でアンカーなのに』



その子が転び、一気に順位は抜かされ最下位になる。
バトンが精市に渡されると、精市は勢い良く走り出し次々と抜かしていく。


その姿は、何だかすごく…



『かっこいいなぁ』


「え?」



本当に……。
その姿は、来年倒れるなんて嘘だと思えるほどに輝いていた。


その未来を変えることが出来るのならそうしたい。
でも、違う世界から来た私が自分の欲だけで身勝手なことをしてもいいわけが無い。


どうしてこの世界に来たのかなんてわからないし、いつまで居れるかも分からない。
だって私はすでに死んでいて、ここにいる事がおかしいんだから。



「…幸村くん、真田くんを抜いちまったぜ。
俺なんかとは全然違う。
すげぇかっこいいよな…」



ブンちゃんはそう言って笑ったけれど、何だかその笑顔が悲しく見えた。









/ 76ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp