第3章 戦国無双/石田三成
「清正と正則も、同じ空を眺めるのかな」
「... ... ああ」
2人はその後、ひたすらに空を見上げていた。
星は無数に輝き、ときどきひゅんと流れていく。
すっと鼻をすする音が聞こえる。
三成は珠実を見つめる。
星明りに照らされ、輝く涙が頬を伝っている。
清正と正則との別れを思い、溢れ出した涙。
「すまない」
三成は珠実の頬の涙を長い指で拭いた。
するとますます、珠実の目から涙が溢れる。
「ご、ごめん。三成のほうが、もっと、きっと、辛いのに」
「... ... だから、お前は謝りすぎだ」
三成はそっと、彼女を抱きしめた。
珠実も三成の背中に手を回し、その温もりを抱き止める。
三成は体を離すと、珠実の泣き顔に、頬に手を触れた。
2人の距離が近い。
すぐにでも触れてしまう鼻と鼻の距離。
三成はこのまま、唇を重ねたい欲に駆られる。
弱った彼女の唇を優しく包んで、彼女に触れて、もっと直に、熱く、慰めたい。
うつむいてないで、俺を見ろ。
「これからも俺たちを支えてくれ。もう泣くな」
珠実は三成のために笑おうとする。でも、涙が止まらない。
「心配、かけて、ごめんね、三成」
三成は彼女が愛しくて、たまらなかった。
謝るなと、言っているのに。
こんなに泣かせてしまったのは、こちらだというのに。
「... ... 馬鹿」
三成は我儘な自身の欲望を埋めるように、自身の額を珠実の額へと繋ぐ。
コツリと、音がする。
珠実の泣く声が、震えが伝わる。
珠実を必ず守る。
だから必ず、秀吉様の天下を繋いでいく。
例え今は俺のやり方を理解されないとしても、
大切なものを守ることができれば、それでいい。