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相合い傘

第3章 戦国無双/石田三成














清正と正則はそれぞれ地方へと出発した。

2人が旅立つとき珠実は泣くまいと誓っていたのに、わんわんと涙を流した。
2人ともに同じことを言われた。

「三成を、よろしく頼む」と。










珠実が前のように、外へ出かけることはなくなった。
珠実が街に出るときは、4人一緒に行くこと。
まだあの頃のまま、2人の世界は止まっている。

珠実も、2人は秀吉様の世のために遠くにいることは理解していた。
でもどうしても寂しいときは、政務に忙しい三成の部屋を訪れる。
決まって夜だった。
そして少しだけ、一緒に星を見上げる。

「2人も、見てるかな」

「ああ。きっと見ている」















6月のある日の晩御飯は、正則が大好きなおかずを作った。
鼻を効かせて、よくつまみ食いに来ていたことを思い出す。
思い出したら、会いたくなった。
珠実はその日も、三成の部屋を訪れた。


その日は生憎の雨。
空には星が、浮かんでいない。

「... ... 晴れるまで、待ってていい?」

「ああ」














珠実は、そのまま寝てしまったようだ。
鳥の声に起こされる。朝だ。
体には薄手の毛布がかけてある。
見渡し三成を探すと、仕事の机でそのまま眠っている。
自身にかけられていた毛布をかけてやる。
頬が机に潰れて、整った顔が崩れている。
きっと起きたら跡が付いているのだろう。
想像して、くすりと笑った。




珠実は障子を開ける。はっとした。




「三成!」

三成の肩をゆすり、彼を無理やりに起こす。

「... ... なんだ」

不機嫌そうに目をこする三成。
やはり頬には跡がついている。

「見て!」

外は雨が上がり、日が昇っていた。
庭の草花たちは1枚1枚の葉が影を作り、コントラストが美しい。
それぞれの葉に残る雨粒がキラキラと光を放っている。
まだ水気の残る地面も太陽を反射している。

それはまるで、星の海を見ているようだった。





「あの星空が見られるのは、夜だけじゃないんだね」

「何が言いたい」

「世界が、変わるってこと」

「意味がわからん」

「... ... 今日は、外に出かけられないかな。少しだけ、2人で」






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