第2章 夜
翌朝目を覚ますと、彼は「まだいたの?」と冷たい目で見下ろして言い放ちシャワーを浴びに行く。
リュウセイ先輩が目を覚ます前に帰るべきだったんだよね。
早くここを出なきゃ。
大急ぎで荷物をまとめる。
浴室から出てきた後の彼は、きっと私を空気のように扱うだろう。その時の虚しい思いは、もう味わいたくはない。
「今夜待ってます」
呟いてドアを閉める。
大学生になって一人暮らしになったリュウセイ先輩のマンションは玄関のドアもオートロック。
彼の部屋にはたくさんの女の子が出入りするけれど、誰にも鍵は渡さないリュウセイ先輩らしいな、と思う。
期間限定の彼女の私は、もちろん合鍵なんて持っていない。
いつも彼が寝息を立て始めた後、ひっそりと部屋を出ていく。