第1章 告白。
「そっか。イイコだね」
リュウセイ先輩の長い指が私の顎の下にかかって、思わずびくっと反応する。
彼が口の端を上げたまま屈んだと思ったら唇が触れていた。
左手は顎の下に置かれたまま、右手は髪を梳いて遊ぶ。
ど、どうなってるの……。
こんな展開、ついてけない。
頭の中は真っ白でキスに応えることもできない私にお構いなしで、彼の舌が唇を割ってきて長いキスが始まった。
「俺今日はあいつらの相手しなきゃだから、明日の夜なら会えるけど。6時にM駅でいい?」
唇が離れた。
初めての体験だったのに名残惜しく思ってしまう自分が恥ずかしくて、私はうつむいたまま「はい」と答える。
「じゃあね」
リュウセイ先輩の後姿を見ながら連絡先も知らないことに気が付く。彼のことを何も知らないのに、唇の感触だけは知ってる。
この数分で、今までとは比べ物にならないくらい私の中はリュウセイ先輩でいっぱいになった。