第9章 決着のとき……
「赤司、お前が姫様を……柚姫を泣かせたら、姫様の部下として…いや、幼馴染の洸汰が、お前を斬りにいく。もしくは、俺が柚姫を奪いにいく。覚悟しておけ。」
「あぁ……気をつけるよ。だけど、俺が柚姫を幸せにする。」
赤司は、洸汰に柔らかな笑みを浮かべていたが、瞳は真剣だった。人を貫く真剣な瞳だ。それを見た洸汰は、僅かに口元をつりあげ、あぁ…と短く返事をする。
その2人の会話は、柚姫の耳には入らないが、黒子達の耳には入っていた。火神は、呆れた表情をしていた。
「なんだよ、あそこ…。暑苦しい言葉を言い合って。」
「暑苦しいって、言えば…火神君ほどではないと思います。」
「おい、それとこれは別じゃねぇ!?」
火神の隣にいた黒子は、暑苦しいを別の意味で捉えて、火神に伝えてしまう。黒子にとっては、予想通りの反応をした火神に、僅かに笑っていた。だけど、黒子の瞳はどこか悔しそうだった。
──悔しいですけど、柚姫さんが幸せになるのなら赤司君に譲ります。ですが、柚姫さんに泣かせることがあれば、洸汰君と同様に奪いに行きます。
黒子の心は、密かに思っていた。どうやら、黒子も柚姫のことが好きみたいだった。その時、高尾の【鷹の目(ホークアイ)】が発動して、叫ぶ。
「真ちゃん!他の敵が来てんだけど!?」
「なんだと!?先程まで、突然変異はいなかったのだよ!!」
それを聞いていた笠松があることを言い出す。それも突然変異の杲良を見ながら。
「こりゃ、まさかと思うが…アイツが呼び起こしてるんじゃないのか?」