第9章 決着のとき……
納得した洸汰は、握り締めていた刀を更に力強く握る。
「……姫様、ありがとうございます。俺は俺なりに姫様をお護りします!」
洸汰の言葉をしっかりと聞いた柚姫は、嬉しそうに柔らかな笑みを浮かべていた。その時、柚姫の足下にあった呪文陣がピカーン、と輝き出した。呪文陣の完成の合図だ。
それを感じ取った柚姫は、静かに息を吸い詠唱を始める。
「Martedì e mercoledì, vento, terreno, luce, oscurità…Riunisca tutti. 」
それに気付いた洸汰は、先ほどと比べものにならないぐらいの炎が刀に纏う。やがえ、隣に立っていた赤司に話し掛ける。それもどこか苦笑した表情で。
「…赤司、お前には負けたよ。」
「それは、どういう意味で言ってるんだい?」
洸汰の言葉は、あまりにも不思議で謎だった為、赤司が洸汰に質問をしてしまう。確かに、頭脳で考えれば赤司が勝っていが、戦いの実力で考えれば洸汰が勝っている筈だ。
なのに洸汰は、赤司に負けた…と伝える。何が、という主語が全くないのだ。やがては、洸汰は、ハッ、と声を出して言い出し始めた。
「俺がお前に負けたのは…姫様の心だ。姫様は完全に、お前を心の底から許してる。幼馴染の俺よりも…。」
「だが、俺から見れば洸汰も心から許してるんじゃないか?」
赤司の言葉に、どうだろうな…と弱々しく答えてしまう洸汰。けど、洸汰はすぐに真剣な表情を戻して、けどな…と言葉を繋げる。