第3章 安否
洸汰は、あの時の想いを思い出したのか唇を噛み締める。その時だったのです、と言葉を繋げる賢次。
全員は体力や精神も限界だった。しかし、その時に光瑠の口がゆっくりと動き始める。
「……限界だな。賢次と洸汰は…。」
その言葉に、立つのがやっとだった賢次と洸汰は目を見開く。まるで何を言っている?という顔だった。そして、2人の足下に呪文陣が現れる。
「光瑠様!姫様!何を!?私達も戦わせて下さい!」
「姫様!!」
賢次と洸汰は、2人に呼び掛ける。しかし、柚姫と光瑠は何も言わない。光瑠の右腕は、既になくなんとか左手で頑張っている。
そして、賢次と洸汰には背を向けているがどこか微笑んでいるようにも感じられる。
「姫様!姫様!何故ッ!?」
「大丈夫だよ。心配しないで…。」
柚姫は洸汰に微笑みかけ術を発動する。そして、光は賢次と洸汰の身体を包み込む。
「あ、そうだ。優花に伝えておいてくれ。会おうぜ!ってな!」
其処で、2人の意識が消えた。気付いた時には、あの突然変異がいない場所にいたのだ。
「それが、一週間前の話です。」
そこの出来事は、全て一週間前というのだ。
「今日まで、何してたんだよ?」
青峰は、2人に質問をする。
「俺達は昨日まで、戦いによってまともに身体が動かなかった。」
「それだけ、私達の身体は限界だったのです。」