第3章 安否
急にはしゃぐ黄瀬。無理もない話だ。黒子達にとっては、数ヶ月ぶりなのだから。
「そういや、場所移動するとき変な術使ってなかったかー?なんで使わねぇんだよ?」
珍しく青峰の鋭い質問に、苦しげな顔をする賢次と洸汰。やがては、洸汰が、それは…と言葉を繋げ始める。
「あれは、姫様にしか作れない術だ。俺達ではあんなの無理がある…。」
洸汰の声は今にでも消えそうだった。余程悔しいみたいだ。暫く飛んでいて、夕方となった頃、ペガサスもだいぶ疲れ果て今日は、此処までという事で地面に降りる。
地面に降り立った所である変化に気付いた黒子は、賢次に質問をする。
「あの…1ついいですか?突然変異は…?」
そう黒子達がこの世界に来てから一度も突然変異の姿を見ていない。
「先程の場所は、突然変異はいません。やっと見つけたのどかな場所です。」
賢次と洸汰がいた場所は、一切突然変異が現れない場所だ。柚姫と光瑠が見つけた理想の場所でもある。
しかし、その理想の場所に2人の姿がない。
「…俺達が元の世界に帰した後の話を聞かせてほしいのだよ。一体何があったのだよ?」
緑間は、2人に問い掛ける。そう黒子達にとっては気になっているのだ。賢次と洸汰は、少し顔を歪めて語り始める。
「君達を送った後、私達は突然変異化となった杲良様とずっと、戦っていました。しかし…。」
「俺達が思っていた以上に、杲良様は強敵だった。俺達…全員は身体も精神も限界が来てしまった。」