第8章 覚悟と決意
赤司の言葉が、1つ1つ赤い瞳の柚姫に届いていく。そして、僅かに顔を歪める赤い瞳の柚姫の姿があった。
「黙れぇぇぇ!!私は何もかも殺す為に生み出されたぁぁ!貴方の言葉は、私にとって無意味よ!!」
赤い瞳の柚姫は、叫ぶ。だが、逆にふっと口元で笑う赤司。そして、ゆっくりと口が動く。
「それはどうかな?本当の君は、強い筈だ。こんな奴に負けるわけがないだろ?」
更に、赤い瞳の柚姫の表情が大きく歪む。そして、持っていた刀を振り下ろす。それを、見ていた黒子達の表情は強張るばかりだ。
「赤司!!」
「姫様ぁぁぁーッ!!」
黒子と洸汰が、叫ぶと同時に振り下ろした筈の刀の動きが止まる。刀の刃先は、赤司に付く直前で、止まっていた。そして、代わりに落ちてきたのは、ポタポタと涙を流す柚姫の姿。
「わ……たし……は……。」
瞳を見れば、綺麗な金色に戻っていた。本当の柚姫だ。赤司や洸汰の問い掛け、それに黒子達の言葉で正気を取り戻した柚姫。
柚姫は、持っていた刀を地面に落とす。そして、繋がれていた筈の金色の鎖も解かれた。まさに、奇跡だ。
「……私は皆を…殺そうとしていた…?」
「やっと……自分を取り戻したか…。」
柚姫の声は、とても弱々しかった。だが、赤司はどこか安心した表情を見せていた。やがて、赤司は柚姫に手を伸ばし、涙を流している為、優しく拭いてあげる。
「……柚姫。大丈夫か?」
「征十郎……私は……。」
赤司の問い掛けに、何かを応えようとしていたが、柚姫の口が一度止まってしまう。