第8章 覚悟と決意
賢次は、光瑠の首元に腕を通して仰向けにさせる。その時の光瑠の表情は、どこか穏やかな顔をしていた。優花は、立ち上がって光瑠にゆっくりと近づき、座る。
「光瑠様…こんなことしかできなくて………申し訳………ありません………。」
優花は、悔しそうに光瑠に謝る。その時だった。
「そんなことない。賢次、優花…よくやった……迷惑を掛けた…。」
光瑠は、目を開きしっかりとした声で賢次と優花に呼び掛ける。勿論のこと、驚きを隠せない2人。それだけではない。黒子達だって、驚いていた。本来なら死んでいる筈だった…。
「……何故……?」
「それは、また後で話す。あの方に助けてもらった…。傷も塞がった。それに、思い出した。すまないな、優花…お前を1人させてしまって、男として失格だな。」
光瑠は、右手で優花に向かって手を伸ばす。その光瑠の右手を包むように優しく握り締める優花の表情は、先程よりもどこか穏やかに見えた。そして、光瑠の言葉を否定するかのように首を左右に振る。
「……いいえ、光瑠様が戻ってくれるだけで……私は……。」
「あぁ………ありがとう、優花。」
光瑠は、優花の微笑みだけで安心する様子が伺えた。そして、まだ戦闘を続けている赤い瞳の柚姫と洸汰。豹変している赤い瞳の柚姫を見た光瑠は、どこか悲しそうな瞳をしていた。
「早く、自分を取り戻せ…柚姫。」