第8章 覚悟と決意
吹き飛ばされた賢次は、動こうとはしなかった。いや、動けないのだ。思っていた以上のダメージだった。倒れた賢次にゆっくりと近付いていく赤い瞳の光瑠。
そして、刀を振り上げる。それを見ていた皆の瞳が大きく開かれる。
「お、おい。マジかよ!?やめろよッ!」
高尾が思わず赤い瞳の光瑠に声を掛けるが、反応を示さない。その時、ずっと見守っていた優花が動いた。スカートを隠されたポケットから銃を取り出す。銃口を赤い瞳の光瑠に向ける。
「光瑠様の命令を実行します!!貴方は、本当の光瑠様ではありません!」
そして、問答無用で引きがねに当たる人差し指に力を入れる。パンッ!という音が鳴り響き、油断をしていた赤い瞳の光瑠の胸に直撃する。銃弾に当たった赤い瞳の光瑠は、優花を見て睨み付けその場に倒れる。
そして、倒れた光瑠に繋がれた金色の鎖が解かれる。そして、光瑠から大量の血が流れ出す。銃弾を撃ってしまった優花は、涙を流しながらその場に座り込み泣いていた。
「優花さん……。」
近くにいた氷室は、優花に傍にいる。緑間や高尾だって、茫然とするばかりだった。傷だらけの賢次は、倒れた光瑠に近付く。そして、優しい瞳で倒れた光瑠に語り掛ける。
「……光瑠様、貴方の命令を優花が遂行しました。これが、貴方様が望んだことなのですか…?他にもやることがあったのではないですか?きっと、他にも方法があったと思いますが…。」