第3章 安否
「姫様と光瑠様は……。」
「俺達を逃がすため、あの戦場に残った。だから、今生きてるかは…俺達には分からない…。」
賢次と洸汰は、悔しそうな表情を浮かばせている。よく見ると、洸汰はギリギリと握り拳を作っている。
桃井は、今にも泣きそうな顔をする。そう、今は光瑠と柚姫は此処にはいない。誰も2人の安否は知らない。
「それで、2人は何をしようとしていた?」
笠松が話を切り出す。そう、2人はペガサスを用意していた。
「これから、姫様と光瑠様を見つけに行くのです。あそこからそうとう離れている為、数日は掛かりますが…。」
賢次と洸汰は、ペガサスを使い戦場の場へと向かおうとしていた。
「俺達も同行できないだろうか?」
赤司がそんな事を2人に話すと、勿論の事2人は目を見開いていた。まさかついて来るとは思ってもいなかったらしい。賢次は、顎に手を当てて少し考え込む。
やがては…。
「いいでしょう…。再びこの世界に来てしまっては仕方ないです。今、ペガサスを呼んできます。洸汰は、彼らに武器を…。」
「………了解。」
賢次は、黒子達にペガサスと武器を用意し始める。その時の彼は少し複雑しそうな顔をしていた。再び此処で会うとは思ってもいなかったみたいだから。
やがて、数分後に全て準備が終わり出発するのだった。桃井は、黒子の後ろに乗り行動する。ペガサスが地を蹴り飛び立つ。
空を飛ぶという感覚は、黒子達にとって久しぶりだった。
「本当に、この感覚は懐かしいっス!」