第8章 覚悟と決意
その赤い瞳の光瑠の声は、ゾクゾクするほどの寒気が走る。これは、かなり怒っているのだと誰もが分かってしまう。それを感じとった賢次は、刀に力を入れて構える。
「なぁ、真ちゃん……。俺達は見ることしかできねぇのかな…。」
「悔しいのだよ、何も出来ない自分に…。だが、俺達が出る幕ではないような気がするのだよ…。」
ずっと、赤い瞳の光瑠達の戦いを見ていた緑間と高尾がそんな事を言い出し始めた。確かに、緑間と高尾はそれなりの腕は持っているから戦える筈だが、戦っている次元が違う。これは、本気の殺し合い。知っている者同士の戦い。
まして、相手はとても強く能力者持ちである人物だ。挑んでは、返り討ちにあってしまう。そして、再び赤い瞳の光瑠と賢次の刀が交じり合う。
そして、その近くでは赤い瞳の柚姫と洸汰の刀同士が、鳴り響く。赤い瞳の柚姫は、刀で攻撃をするのかと思えば実は術で攻撃をしてくる。それも、詠唱なしで。詠唱なしで、ずっと術を使っていればどんどん、寿命が削られていく。
「ちょろちょろ…と……。そろそろ、流石に腹が立ってくるわね。さっさと、死になさいよッ!!」
連続的に、術を出している赤い瞳の柚姫は苛立ちの表情を見せる。そして、なかなか赤い瞳の柚姫に攻撃をできない、いや、攻撃ができないのではない、近付けない洸汰。
「くそっ!どうすればッ!!これ以上、姫様に負担を掛けさせたくない…。一気に燃やすしかないのか…?」
洸汰は、悔しそうな表情を浮かべながら、刀に炎が宿り始まる。