第8章 覚悟と決意
光瑠は、弱々しくそんな風に呟いていた。光瑠の瞳には、涙を溜めていた。恐らく、プライドが許さないのだろう。諦めたくない…だけど、今は何も出来ない自分に悔しい。
すると、2人の前に小さな光が現れた。それを見た柚姫と光瑠は、お互いの顔を見てから不思議な表情を浮かべる。その小さな光は、人の形へと変化させる。そこには、セミロングの銀色、瞳は水色の女性が立っていたのだった。
一方で、現実の方では暴走した赤い瞳の柚姫と赤い瞳の光瑠に苦戦をしている賢次と洸汰だった。だが、その苦しそうな表情を嘲笑う赤い瞳の柚姫と僅かに口元を釣り上げている赤い瞳の光瑠の姿があった。
「……光瑠様。貴方様は、皆を守りたいのではありませんか?何故、こんなことをなさるのですか?」
「何をいきなり語り出すのだ?俺は疲れた。今は、『守る』よりも『破壊』が好みだ。頭が可笑しくなったのか?」
賢次がいきなり語り出してきたことに、赤い瞳の光瑠は釣り上げていた口元をやめて無表情へと変化させる。赤い瞳の光瑠の言葉に、本当にそうでしょうか…とすぐに否定の言葉を出してしまう賢次は、僅かに笑っていた。
その表情を見た赤い瞳の光瑠は、僅かに眉をピクッと動かした。そして、僅かばかりだが表情が壊れ始めてきたのだ。
「貴方様は、本当に疲れたのですか?長年、私が付き添っていましたが、疲れたという言葉は、一度も聞いたことありません。それよりも、逆に『守れて良かった。皆の笑顔が見られては良かったと思っている。』と喜びの声をあげていますよ。」