第3章 安否
その時、遠くの方から声が聞こえる。
「賢次さん!私も連れてって下さい!もう一度光瑠様に!!」
そう、荒々しい声を張り上げているのは優花だった。賢次は、真剣な瞳をして優花を見る。しかし、首を左右に振る。
「すみませんが、連れては行けません。私と洸汰で行ってきます。優花は、街の人達の面倒を見ていて下さい。」
「ですが………。」
「気持ちは分からなくもない。けど、誰かが残ってないといけなんだ。」
其処には、ペガサスの横で立っている賢次と洸汰の姿があった。そして、3人は深刻そうな表情を浮かべている。
「アイツらって…。」
「あぁ彼らだ……。」
青峰は、茫然としながらそんな事を呟いていると聞こえてきたのか赤司が答える。すると、実渕が前に出て3人に話し掛ける。
「お久しぶり、と言った方がいいわね。」
3人は、実渕や他のメンバーを見て目を見開いていた。
「何故来てしまったのですか!?」
賢次は、驚きながらも質問をする。
「あれから、一週間しか立ってないのに……?!」
洸汰が、そんな事を言う。一週間!?とそれぞれ言葉を漏らす黒子達。そう、黒子達にとってはあれから数ヶ月経ったのにも関わらず、この世界は一週間しか経過していない。
これが、時間の流れが違うといえる。だが、其処には柚姫や光瑠の姿がない。それだけではない。叔父の杲良の姿もなかった。
「すまないが、柚姫と光瑠さんは?」
氷室が3人に質問をする。しかし、3人の目線が地面へと写す。これは、何か合ったに違いない。