第8章 覚悟と決意
それだけではない。よく見れば金色の鎖は杲良の所に集まっていた。ということは、この鎖の術を掛けたのは杲良だということも分かった。賢次は、杲良を睨み付けながら叫ぶ。
「杲良様、今すぐに鎖の術を解きなさいッ!!」
しかし、それを微動だにしない杲良は、更に目を細める。その時だった。突然と柚姫と光瑠は、酷く顔を歪めて苦しげな声を張り上げる。
「ああああぁぁぁぁーッ!!」
「ぐああああぁーッ!」
「ど、どうしたんだよ!?」
高尾は、2人に呼び掛ける。しかし、2人は苦しむだけで何も返事をしない。いや、苦し過ぎて返事が出来ないだけだった。そして、バタリ…と力無く地面に倒れる2人。
「姫様!光瑠様!」
洸汰が、近付こうとした時、突然変異となった杲良の大きな口が動き始める。
「無駄ダ。コイツラニハ、自我ガ、モウ…ナイ。僕ノ駒ダ。」
「どういうことだよ!!」
青峰は、杲良に怒鳴る。それはすぐに分かったことだ。倒れた筈の柚姫と光瑠の体がゆっくりと起き上がる。杲良に背を向けて柚姫と光瑠は黒子達の方見る。
ゆっくりと瞳を開けると、綺麗な瞳の筈だった金色ではなく殺気を放っている赤い瞳に変わっていた。それに気付いた黒子達は、息を呑み込む。自我がない…そういう意味だったのだ。
「僕ノ為ニ…アイツラ、ヲ、殺セ。」
「「………はい。」」
杲良の命令で返事をしてしまう柚姫と光瑠は、刀を構えたと思っていたが、行動はすぐに移った。