第7章 破壊衝動
部屋に残ったのは、赤司と柚姫だった。柚姫は、ベッドから下りては近くにあった刀を手に取る。
鞘から抜き取れば、キランッ…と光っていた。そのまま、柚姫は赤司に問い掛ける。
「洸汰に、あんな風に命令しちゃったけど…征十朗にも言っておくよ。暴走したら、私を殺して。きっと、大変なことになるから。」
「俺は、嫌だね。」
柚姫の言葉に、即答してしまう赤司。それを聞いた柚姫は、目を見開いては赤司を凝視してしまう。まさか、断られるとは思ってもいなかったからだ。
赤司は、冗談でもなく真剣な瞳で柚姫を見ていた。嘘ではない。本当の瞳だ。柚姫の口から自然に、なぜ…と漏れてしまった。
赤司は、柚姫が発した言葉をしっかり聞いていた。赤司は微笑んでは、柚姫に近づき優しく抱き寄せる。
「お前が俺にとって、大切な人だからだ。例え、お前が俺を忘れようとも…。もう少し、様子を見ておこうと思っていたが、どうやら我慢できないらしい。」
赤司の言葉に、柚姫は首を傾げるばかりだが、でも何となく分かる。赤司の言葉1つ1つが、心に染みるということを…。温もりを感じる。安心と心が高まることを感じていたのだ。
「俺はお前が好きだ。どうしようもないくらいね。」
「征、十朗………?」
赤司からの告白に、脳内が追い付いてない柚姫は、戸惑いの表情をする。無理もない話しだ。何しろ記憶がない分、そして何よりも住んでいる世界が違う。
それを分かっていても、告白をする赤司。全て理解した上での告白は、余程の覚悟がないとできない。