第7章 破壊衝動
その様子から口元を緩ませる柚姫。柚姫は、上半身だけ起き上がっては2人を見る。やがては、真剣な瞳で柚姫は、洸汰を見る。
真剣な瞳を見た洸汰は、唾をゴクリと呑み込む。何か伝えたいのだと言うのが分かったのだ。
「…洸汰にお願いがある。もし、私じゃない私が暴走をしたら、貴方の手で私を殺して。」
柚姫からとんでもない言葉を出した時、目を見開く洸汰。洸汰だけではない、赤司も驚いてはいた。しかし、それは柚姫にとっては、かなり真剣な話だ。
「姫様…何を、言ってるのですか…?」
未だに信じられないのか洸汰は、震える声で柚姫に問い掛けてしまう。だが、何も答えない柚姫に対して、ギュッと力強く握ってしまう洸汰は、叫ぶ。
「そ、そんなの…できません!何故、貴方様を殺さなくては…!」
洸汰の想いは痛いほど、伝わってくる柚姫だったが、覚悟を決めなくてはいけないのだ。柚姫は、姫としての瞳に変えて洸汰を見れば、洸汰の表情も変わった。
「洸汰、私が暴走したら私を殺せ。これは、私からの命令だ。」
命令という言葉に、ピクリと肩を揺らしては反応してしまう洸汰は、その場に跪きゆっくりと口を動かす。
「……姫様のご命令…。承りました…。」
洸汰の言葉を聞いた柚姫は、優しい瞳で洸汰を見ていた。
「……ありがとう、洸汰。」
その後、空気に耐えられない洸汰は、お辞儀をしては柚姫の部屋を出て行った。