第7章 破壊衝動
まるで、悪魔の囁きと言ってもいいかもしれない。カタカタと僅かに震える手。記憶がない分、そして精神的に不安定状態となってしまっているので、悪魔の囁きには弱い。
「ねぇー、私が貴方の身体を乗っ取って…代わりに私が貴方の周りにいる人達を殺してあげる…。」
不気味に笑っている柚姫は、柚姫に囁き続ける。刀をキチ…っと鳴り横に振る。柚姫の手が震えているのが治まっていて、瞳は真剣なものを表していた。
「貴方が私に乗っ取っても…。そう簡単にやらせはしないよ。もし、止められなかったら…洸汰に頼むか…他の人に頼むよ。」
その言葉を聞いた柚姫は、不気味な笑みを止めては睨み付けて見ていた。そして、その瞳には殺気を写していた。
「何を考えているのかしら?まさか、殺して…とかじゃないわよね?」
「その通りだよ。殺して貰うの。誰も傷つかないように。」
柚姫の瞳は、どこか優しいものを写していた。刀の刃先を赤い瞳を持っている柚姫に向ける。
「私は、負けないよ。例え、乗っ取られてもね。」
赤い瞳を持った柚姫は、ぎりぎりと歯を食いしばっていたが、それは最初のうちだった。やがては、高い声を出しては笑い始めた。
それはまるで、柚姫を馬鹿にしているようにも見えた。何が可笑しいのか不思議に思ってしまった柚姫は、目を細めては睨み付ける。
「…何が可笑しいの?」
「本当に馬鹿らしいわ。貴方を殺そうと思う人はいるのかしら?」
「いるよ。」
赤い瞳を持った柚姫の言葉を即答する。即答してしまったことに、僅かに驚きを隠せなかった。