第7章 破壊衝動
柚姫は、闇の中で1人で立っていた。建物、草木などがない。独りぼっちで立っていた。音も何も聞こえない。なぜ、自分が此処にいるのかも分からない。
目の前には、謎の人物が立っていた。黒い影で見えない。だけど、分かる。その人物から殺気を感じることを、だから刀を構えるしかない。
「貴方は、誰?答えてよ!」
「コロセ、ナニモカモ…。コワシテシマエ…。」
呪われそうな声で、直接柚姫の頭の中に響く。それがきつかったのか僅かばかり柚姫の顔が歪む。すると、影は変形した。
そこには、自分と全く同じ姿をした柚姫が立っていた。唯一違っていたのは、瞳だった。赤い瞳で何よりも殺気を放っていた。
「貴方は私。私は貴方。さぁ、壊しましょ?何もかも…。」
不気味な笑みを浮かべる柚姫は、柚姫に問い掛ける。同じ人物が2人いるというのは、鳥肌が立つほどの気味が悪い。
「違う!貴方と私は違う人物!」
柚姫は、不気味に笑う柚姫に向かって叫ぶ。その時、一瞬だけ動きが止まったがやがては、口元を吊り上げてはクスクスと笑うばかりであった。
「何言ってるの?私と貴方は同じ人物…。記憶ないのによく言えるわね?貴方は、狂気を忘れているだけ…。」
「…っ!」
記憶ないのは、確かにそうだ。それを言われてしまえば何も言えなくなってしまう。ギュッと刀を握り締めて、影から生まれた柚姫に斬り掛かる。
だが、斬ったとしても空気を斬るような感覚だった。また、遠くにら不気味な笑みをしている柚姫の姿が見える。
「さぁ、一緒に狂いましょう?ねぇ~…。周りにいるモノを壊して壊して…殺してしまいましょ?」