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異世界の住民2【黒子のバスケ】

第7章 破壊衝動


そう、洸汰は誰にも気付かれない程に、僅かばかりだが柚姫との距離を置いていた。近寄れば、辛い思いをしながら記憶を取り戻してしまうのではないか…という不安でいっぱいだった。

「俺の代わりに、お前が傍にいてくれ…。」

「そのつもりじゃなくても、俺は傍にいる。だが、お前は柚姫に好意を持っていたのではないか?」

赤司の言葉に、目を見開いていたがすぐに表現を元に戻す洸汰。

「…否定はしない。」

赤司の質問に、否定はしない洸汰はそれだけを伝えては、口を閉じる。赤司は、更に洸汰に問い掛けようとしたが、止めた。

洸汰の瞳を見れば明らかだ。辛そうに瞳がゆらゆらと左右に揺れていた。今の自分は無力だと感じているのだということを…。

「───し、て…………。」

いきなり柚姫から僅かだが声が聞こえてきた。柚姫は、寝てるとはいえ苦しげな表情をしていた。それに気付いた赤司は、柚姫の頭を優しく撫でる。

「……寝言みたいだな。」

「姫様…。今、貴方が必要なものとは…?何かしてほしいこととは?」

洸汰は、呟くように言っていた。しかし、それを答えることはないと考えていたが、意外な言葉が返ってきた。柚姫の口が開き震える声で確実に言った。

「わた、し………を………殺し…て……。」

「ひ、め…様……?」

そう柚姫からの寝言は、殺してという言葉だ。その事に驚きを隠せない洸汰だった。洸汰本人は、寝言だと分かっていてもやはり動揺はする。

「悪夢でも見てるのか?落ち着いてもらわないと…。」

赤司は相変わらず冷静だった。美希は、震える手で強く握り締めていた。
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