第7章 破壊衝動
光瑠の瞳は、ゆらゆらと左右に揺れていた。どこか不安に襲われている。自分に自信が持てないようにも感じられる。やがては、光瑠はだらんと力無く左腕を下ろす。
そして、氷室と紫原に向かって言った。
「優花の銃だけで、俺が死ななかったら、お前らの手を汚しちまうが、俺を殺してくれ。それが出来なければ後は賢次に任せるしかない。」
「それって、望んでいることなの~?」
「あぁ…。」
「分かった~。考えておくよ~…。」
「敦!?」
「室ちんも覚悟してた方がいいかもね~。」
紫原は、城に向かって歩き始めた。それを見ていた光瑠は、苦笑をしながら帰ろう…と呼び掛け歩き始める。氷室の頭の中は、少しばかりだが混乱をしていた。
一方で、赤司は柚姫の頭を優しくずっと撫でていたらノックして部屋に入ってくる洸汰の姿があった。
「…赤司か。姫様の様子は、どうだ?」
「さっきまで、苦しい思いをしていた。」
「………その話、聞かせてくれ。」
洸汰が赤司に柚姫の様子を聞いていたら、先ほどの出来事を話し始めた。赤司から全てを聞いた洸汰は、顔を僅かに歪めていた。
「……分かった。姫様を支えてくれて助かる。……俺では姫様を支えられない…。」
僅かに洸汰の声が震えていた。記憶がない更に、先程の話でショックを受けている洸汰だ。
「そういえば、柚姫と洸汰の関係は?」
「あぁ、言ってなかったな。俺と姫様は、同い年だ。お前ら言う、幼馴染関係に近い状態だ。だが、今の姫様は記憶がない。今は、近寄れないんだ…。」