第7章 破壊衝動
掛け布団を力強く握っている手を、優しく包み込むように握る赤司は、そのまま柚姫を抱き寄せる。
「っ、あ……な、に……?」
「いいから。お前の苦しみ…俺が受け止める。」
赤司の言葉は、柚姫の苦しみを少しでも和らごうとしていた。それでも柚姫は、苦しくても赤司に抵抗の素振りをみせる。
しかし、あまりにもの苦しみで力が全く入ってはいないが、抵抗していることに気付いた赤司は、柚姫に問い掛ける。
「一体、どうしたんだい?さっきから…。」
「だ、め……今の私に…近づい、ちゃ…。征十郎、を………殺しかねない……。」
柚姫からのとんでもない発言に、思わず目を丸くさせる赤司。よく見れば柚姫の瞳は、ゆらゆらと左右に揺れているがそれでも瞳の奥には、殺意を感じられる。
「だか、ら…お願い………。近づか、ないで……。」
「いやだね。お前がこんなにも苦しそうな顔をしておいて、離れる俺ではない。それに、俺は殺されないよ。」
真剣な瞳で赤司は柚姫を見る。それを見た柚姫は、驚きを隠せない。目を見開いては、信じられない…という表情までさえしてしまう。
「…も、う……わけが、分からない…よ…。」
柚姫は、弱々しくそれだけを言ってかは赤司に寄りかかってしまった。赤司が、不思議に思いながら、柚姫の名前を呼ぶが返事がない。
よく見れば、スヤスヤと眠り始めてしまった。疲れてしまい寝てしまったということになってしまった。
「……おやすみ、柚姫。」
赤司は、微笑みながら柚姫をベッドに横たわらせる。