第6章 不可解なこと…
「お、おい!何をしようとするんだ!」
笠松が慌てて光瑠を止めようとする。光瑠は、大丈夫だ…というばかりの目をしながら笠松や優花、緑間を見ていた。
光瑠は、しっかりと緑間のハンカチを噛み締めては刀を軽く持ち上げ、自分の左太腿に刀を刺す。この行動に、皆は驚きを隠せない。
「っ!!!」
息が詰まる程の痛みだ。其処から溢れ出す赤色の血。刀を引き抜けば更に血が溢れ出せば、床に落ちてその場を赤く染める。
口からハンカチを抜き取り、大きく息を吐き出す光瑠。刀は、自分の血で汚れていたがそれを気にせずに鞘に戻す。
いつの間にか、負の声が全く聞こえなくなった。恐らくは、光瑠がこの声を断ち切る為にしたことだろう。
「何をやっているのだよ!!」
珍しく緑間は、声を張り上げる。優花は、目に涙を溜めながら血を止めようと布を取り出しては、抑えつける。
「だ、駄目です。血が止まりません!」
「どんだけ深く刺したんだよ!」
「俺に貸すのだよ!」
優花の代わりに抑えつけようとする緑間。力なら優花の女の力より男の方が力があるため、もしかしたら止められるかもしれない。
その時、バタンと扉がいきなり乱暴に開かれた。
「真ちゃん!大変だ………って。」
そこには、高尾が焦った表情をしていたが、光瑠達の様子を見て言葉を失ってしまった。しかし、冷静に光瑠は、高尾に問い掛ける。
「どうした、高尾?」
「あ、それが…柚姫ちゃんが、倒れたって!」
高尾の一言に、目を見開く。