第6章 不可解なこと…
「駄目だ!賢次を呼ぶな!」
光瑠は、苦しげな表情をしても声を張り上げて優花を呼び止める。その声で立ち止まってしまった優花は、光瑠の方を見る。
「しかし、光瑠様!」
「いいから!俺の命令だッ!」
光瑠の強い口調が優花の思考を完全に停止させる。強い口調を言ってしまった光瑠自身も驚いていた。だが、すぐに悲しみの瞳をさせてはすまない…と優花に静かに謝る。
──殺せ、殺してしまえ。何もかも全てを…。
負の声が光瑠の頭の中をグルグルと回っている。しかし、それを必死に拒否をする光瑠。全てを失ってしまえば、記憶がない光瑠は、更に不安定になってしまう。
──お前は誰だ!俺の意志に入ってくるな!
光瑠は、強く歯を噛み締めその何かに耐える。その様子から、優花は光瑠に話しかける。
「光瑠様!そんなに噛み締めては、駄目です!!」
すると緑間は、自分のポケットからハンカチを取り出しては、苦しむ光瑠の口を無理矢理こじ開けては、軽くハンカチを詰め込む。
かなりの強引なやり方だが、これならひたすら噛み締めても大丈夫だと思える。
「光瑠さん、しっかり意識を持つのだよ。」
「分かって………るッ!」
光瑠は、なんとか返事をしようと必死になって言葉を繋げる。すると、突然光瑠は、無理矢理身体を起こしてはその場に座り込み左手で刀を抜き取る。
突然の行動に皆は驚きを隠せない。何をするのかが分からない。