第6章 不可解なこと…
それだけを伝えた柚姫は、再び目を瞑り意識を鎖へと集中させる。その間、黄瀬と赤司は黙って柚姫を見守る。
柚姫の意識は、また深い水の中へと引きずり込まれる。そして、問題の見えない壁に到着をする。見えない壁は触れる。この奥に、何かがあるのは間違いない。
だけど、見えない壁で行けない。だから、壊す必要がある。今度こそ、壊すと決意した柚姫は、見えない壁に手を当てて口を動かそうとしたとき、身体に変化が起きた。
急に柚姫の身体が重くなり、まるで心を締め付けるような苦しさが襲いかかってきたのだ。壁を壊すことを中断させては、意識を現実へと呼び戻す。
だが、現実に戻しても苦しみは変わらなかった。柚姫は、胸を押さえてはその場で倒れる。その異変に気付いた黄瀬と赤司は、慌てて柚姫に近付く。
「ああぁぁぁっっ!!」
「おい、柚姫しっかりしろ!」
「柚姫っち!どうしたんスか!?」
ここまで、声を上げた柚姫の姿を初めて見た黄瀬と赤司。更に言ってしまえば、ここまで苦しそうにしている姿を見るのも初めてだ。
「洸汰っちを呼んで来るっス!」
黄瀬は柚姫にそう伝えては、立ち上がろうとしたとき、咄嗟に黄瀬の袖を掴む柚姫に驚いた表情をする黄瀬。
「よ、呼ばなくて……いい…。洸汰は……城の外で…突然、変異……と戦って……る…。」
柚姫は顔を歪めながらも黄瀬に伝える。どんなに苦しそうな表情をしながらも瞳は、黄瀬を捉える。それを見た黄瀬は何も言えなくなった。