第6章 不可解なこと…
「英語とは、少し違うのだよ。赤司が言ってた『イタリア語』…という可能性があるのだよ。」
そう柚姫達が使っている文字は、黒子達で言うと『イタリア語』だったのだ。それを発見した赤司が皆に説明をしていたのだった。
やがては、緑間は諦めては本を閉じる。取り上げられた光瑠は、少しだけ頬を膨らませていたが、その機嫌はすぐに直る。その理由は、なぜか記憶ないのな懐かしいと感じていたのだった。
──コイツらと一緒にいたら、毎日が退屈せずに済むな。
光瑠は、黒子達に気づかれないように1人で口元をつりあげては笑うしかなかった。
あれから、柚姫は鎖を解こうという必死の毎日。そして、光瑠は記憶を取り戻そうと本を読み思い出そうという毎日だった。
賢次がこっちに戻ってくるのに一週間近くになってしまった。今回は賢次だけではなかった。朝早くリビングに向かえば、賢次と光瑠が愛している優花の姿もあった。
「戻ってきたんだな。」
「はい。こちらの様子は全く変わってないようですね。優花を連れてきました。記憶がないことや此処の状況は、優花に既に説明をしています。」
優花は、少し複雑そうな表情をしていたが柚姫と光瑠の前で、ペコリと頭を下げては微笑み掛ける。
「事情は聞いています。それでも、お久しぶりです。姫様、光瑠様。優花です。此処の使用人を務めています。」
優花の優しい声で、光瑠の心を揺さぶる。どこか懐かしく、温もりを感じれば鼓動が増すばかりだった。それを気付いた光瑠は、口元を緩ませてはあぁ…と短く返事をする。