第6章 不可解なこと…
赤司の言葉を聞いた柚姫は、クスと僅かばかり笑っては手から鎖を放す。その様子を黙って聞いては赤司と柚姫から離れた場所で見守っていた洸汰。
まるで、影から見守っているようにも見えた。安心したのか洸汰は、その場から静かに去って行った。
──姫様は、大丈夫だな。あとは、光瑠様だけだな…。
そう、記憶が全くない柚姫と光瑠は、状況的には精神的に不安定だった。だから、誰かが傍にいないと、恐らく大変なことになるだろう…と予測する洸汰だった。
書類室を覗けば、机の上大量の本が置いてある。その本を丁寧に一冊ずつ読んでいく光瑠の姿があった。何かを確かめているようにも見える。
「休憩をしてはどうですか?光瑠さん。」
「黒子の言ったとおりなのだよ。少しは、休んだ方がいいのだよ。」
「お前ら優しいな。俺なら大丈夫だ。少しでも情報がほしい。」
そう書類室に入ってから光瑠は、休憩せずに本ばかりを読んでいた。それを心配する黒子と緑間。よく見れば、高尾も興味本位で、書類室にある本をキョロキョロと見ていた。
「高尾も何か言ったらどうなのだよ?」
「え?あ、わりぃ!つい、気になってな!ほらほら、光瑠さん休んでよ~。」
ケタケタと笑いながら、高尾は光瑠が持っていた本を取り上げる。高尾が取った本は、何を書いてあるか分からない物だった。そのまま緑間に見せる。
「真ちゃーん、何書いてあるか、分かんねーよ。」
高尾に渡された本の内容を凝視する緑間は、難しそうな表情してはかなり悩んでいた。