第6章 不可解なこと…
見えない壁があるのだ。これも術によって作られた壁なのか…と疑問に思ってしまう柚姫。その壁は、何かに拒むように作られており、これ以上入ってくるなという意味も読み取れる。
見えない壁の向こうに、何かがあるのは柚姫が分かった。その何かに触れようとしても、触れられない。
──コレを……破壊しないと……。
柚姫は、見えない壁を壊そうとするが口が動かない。まるで、金縛りにあったみたいに、動かない。思考は、働いていても何も出来ない。
壁をどうすることもできない。ただ、その見えない壁に触れることしかできない。今の柚姫は無力だった。
その時だった。柚姫を現実に戻すかのように、ポンと柚姫の肩に手を置く人物がいた。あまりにも集中をしていた為、人の気配に気づかなかった柚姫は、目を開いては後ろを振り返る。
「何をしているんだい?」
赤司がいたのだ。赤司は柚姫に声を掛けては、鎖を見ていた。正体を知った柚姫は、ホッと胸を撫で下ろし安心をする。
「ちょっとね………。もしかしたら、この鎖を解けないかな…って思ったんだけど…。」
「けど?」
「…解けない。その前にあの壁が邪魔で……。」
柚姫は、悔しそうにジャラ…と鎖を強く握り締める。恐らく自分が無力だということを悔しがっているのだろう。
握り締めていた鎖の手を、赤司は優しく柚姫の手を包むように握る。そのことで、パッと顔を上げる柚姫。
「焦る必要はないと思う。何か理由があるんじゃないか?あんまり強く握ると、お前の手が傷つくだけだ。」