第5章 籠の中の鳥
それは、光瑠も同様だった。皆、平等で過ごしたいと昔から思っていた。例え、記憶がなくとも2人の性格は、全く変わっていなかった。
その事に気付いたのか洸汰は、頬を緩めては僅かに笑っていて、はい…と短く返事をしては席に座って食べ始める。
──どうやら、俺は姫様には勝てないな。
洸汰は、1人でそんな事を考えながら食事をするのだった。暫くしてからそれぞれ朝食が食べ終わると、今後どうしようかという話し合いになる。
問題なのが柚姫と光瑠の鎖をどうしようかという問題だ。鎖のせいで自由に動き回れない2人だ。何よりも戦闘の時は、邪魔で仕方ないみたいだった。
すると、笠松はあることを思い始めては発言をする。
「なぁ、1つ思ったんだが…。此処って、結界がないだろ?城の外に行けば突然変異がいる。のにも関わらず、城に入って来ない…どういうことだ?」
そう笠松の言う通りだ。此処は、結界がない。だから、突然変異が城に入ってきても可笑しくはない。だが、入って来ないのだ。
「馬鹿だから、入って来ねぇだけだろ?」
「馬鹿は、大ちゃんでしょ?」
「おい、さつき…それ、どういうことだ?」
桃井を睨み付けるように見ていた青峰。その事に対して、光瑠があぁ…と言葉を漏らしては、説明を始める。
「街とかの結界はない。だが、城にだけ結界が張ってる。俺は、結界は張れない。柚姫じゃないか?」
「ううん。私じゃないよ。確かに結界は張れる。けど、今回の結界は私じゃない。誰かがやってるんじゃないの?」
柚姫の言葉に目を丸くさせる光瑠だった。じゃあ…誰が…と悩む仕草を見せる光瑠でも分からないみたいだった。