第5章 籠の中の鳥
桃井と青峰は、幼馴染関係だからよくお互いの事は、一番よく分かっている。だから、青峰は顔色を変えながらも必死に桃井を止めようとする。
その様子からとても楽しそうに笑い出す柚姫と光瑠。
「お前ら仲良いな。」
「よくない!」
「よくねぇよ!」
光瑠が言った瞬間、桃井と青峰の言葉が重なる。反抗的な言葉に、一瞬だけ光瑠は目を丸くしていたが、柔らかい笑みを浮かべていた。
その時に、リビングの扉がゆっくりと開かれる。其処には、幾つかの食料を持ってきた洸汰の姿があった。
「まだ、あるんだが…。これだけあれば何か作れるだろう。」
「じゃあ、火神君の登場ですね。」
黒子の一言に、はぁ!?と声を張り上げた火神だったが、すぐに溜息をしてから言った。
「わーかったよ…。やりゃあいいんだろ?…台所どこだよ?」
「あぁ、案内する。」
洸汰は、火神に台所まで案内する為リビングを出て行った。その様子を懐かしそうに目を細めて見ていた光瑠。思い出そうとすれば、ノイズが走り何も見えない。
それは、柚姫も同じ事だった。どこか見たことある風景だが、何も思い出せない。思わず難しい表情へと変えてしまう。
「ねぇ、お兄ちゃん。なんか、懐かしくないかな?」
「あぁ。それは言えてる。大切な人を忘れているような気がする。」
「あのさ~。思い出せないなら~思い出さなくていいんじゃないの~?」
突然と話掛けてくる紫原の表情は、面倒くさそうだった。その事に、目を丸くさせる柚姫と光瑠。それを同意するように頷く赤司。