第5章 籠の中の鳥
赤司の一言に、皆は目を丸くさせる。
「だ、大丈夫だったんスか!?」
「あぁ、問題ないよ。彼女もいたからね…。」
赤司は、平然に言いながら自分のベッドに寝っこがる。
「彼女…柚姫さんですか?」
黒子からの質問に赤司は、あぁ…と短く返事をし瞳を閉じるがそのまま赤司は先程の状況を黒子達に簡単に説明をするのだった。説明が終わった所で、就寝となるのだった。
よく朝、暖かい日差しで目を覚ます柚姫。どうやらそのまま寝てしまったらしい。よく見れば黒いコートが掛けられていた。
自分では掛けた覚えはなかった。すると…。
「お目覚めになりましたか?姫様…。」
窓の近くにある椅子に座っている洸汰の姿があった。柚姫は、ゆっくりと体を起こして洸汰の方向を見る。
「これ、洸汰が掛けてくれたんだよね?ありがとう……。」
「構いませんが、風邪を引きますよ?どうして、此処にいたのか聞いてもいいですか?」
洸汰は、不思議そうな顔をして柚姫に質問をする。すると、柚姫は、部屋中を見てから窓から見える空を見た。
「分からない…。だけど……此処がなんだか落ち着くんだよね…。この部屋は、一体誰の部屋なの?」
逆に柚姫は、洸汰に質問をしてしまう。その時、僅かばかり洸汰は顔を歪めていたが息を吐き出してから質問に答える。
「此処は、理彩様……貴方様の母親の部屋です。記憶に……ありませんか?」
「私の母………の、部屋……?」
柚姫からの曖昧な返事であった為、記憶にないという証拠だった。