第5章 籠の中の鳥
1人になった赤司は、柚姫が見ていた夜空を見上げる。そして、前回にも似たような出来事を思い出す。
「…守る…。今度こそ、絶対に…。」
赤司は、それだけを呟いて城へと戻っていきお風呂に入る。赤司が言った言葉は、柚姫に届いているかは、分からない。だけど、赤司はこの想いを届いてほしいと願うのだった。
柚姫は、自分の部屋に戻ろうとした時、ふとある1つの部屋の前で足を止める。気になりながらその扉をゆっくりと開ける。その部屋は、女性らしい綺麗な家具やなどが置いてあった。
「そういえば、此処って……。」
柚姫は、不思議に思いながらその部屋に入る。そこは、とても懐かしい感じがした。そして、僅かに温かさが残っている。柚姫の記憶がない為、此処は誰の部屋か分からない。
しかし、この部屋は柚姫の母親…理彩の部屋だった。そして、部屋の中心には大きなベッドがあった。柚姫は、そのベッドに近寄り床に膝を立てて、上半身だけベッドに寄りかかる。
ベッドから伝わる温かさは、柚姫に人の温もりを教える。柚姫は、ギュッと握る。
「……誰。この温かさは……。教えて……。」
柚姫の弱々しい声が、部屋に微かに響くがすぐに消える。柚姫は、ベッドから漂う懐かしい匂いを感じて、瞳を閉じるのだった。
お風呂を済ませた赤司は、自分の部屋に戻ると【キセキの世代】…全員が起きていた。
「なんだ、寝ても良かったのに。」
赤司は全員起きていた事に、苦笑をしていた。
「赤ちん、随分と遅かったね~。」
「あぁ、城の外に行ったら突然変異が襲ってきてね…。」