第5章 籠の中の鳥
柚姫は、静かに息を吐き出しギュッと握り締める。
「無理だけは、しないでね?」
「柚姫も…だよ?」
柚姫が赤司に向かってそんな事を言えば、赤司は微笑みながら同じように言う。その一言には、僅かに目を見開いていた。柚姫にとって嬉しかったのか、うん…と頷き真剣な瞳へと変える。
そして、突然変異の狼達が動き出すと同時に、赤司と柚姫も動き出す。2人だけで、次々と狼達を斬っていく。
お互いの背中を守るように、阿吽の呼吸で合わせている。お互いに信じている…という気持ちが1つになっている。柚姫は、確実に狼の頭と胴体の繋ぎめである首を斬り捨てる。
首は、ある意味重要な場所でもあり動脈とかが流れている為、斬れば其処から大量の血が飛び散る。
その血は、柚姫の髪や顔、服に大量に付く。殆どが、真っ赤に染まっていると考えてもいい。赤司は、突然変異の狼の心臓を貫く。
心臓を貫くというのは、初心者じゃ絶対に出来ない。慣れている人ではないと、難しい。赤司は、相手の動きを完全に読み刀を器用に使い心臓を貫く。
赤司も同様に、全身が真っ赤だった。そして、最後の一匹は柚姫が倒す。地面は、真っ赤に染まっていた。
「終わったみたいだな…。」
「そうだね。突然変異の気配は、全くしないよ…。体中がベトベトだ…。」
赤司と柚姫は、鞘に刀を収める。柚姫の綺麗な髪が赤く染まっていて、更に言えば血が乾いてしまった為、カピカピ状態だった。
「この後、お風呂だな。あんな激しく動いて、大丈夫だったのか?」
「うん、大丈夫だよ。まだ、少しだけ動きが鈍いけど…。」