• テキストサイズ

異世界の住民2【黒子のバスケ】

第5章 籠の中の鳥


柚姫の動きが止まった事に気づいた光瑠は、柚姫に問い掛ける。

「どうした?」

「お兄ちゃん……この鎖……。術だよ……。」

「……は?」

柚姫の一言に、光瑠は目を丸くさせる。まるで言っている意味が分からないというのだ。

「私達は、何者かによってこの鎖で繋がれている。この鎖は、その何者かの術だよ。理由はよく分からないけど…。」

「要は、俺達を逃がさない為に使った術って事だな。俺達は、籠の中の鳥ってわけか…。」

柚姫の瞳は、どこか不安と寂しそうに写していた。それだけではない。光瑠も、そんな感じだが苦しげな表情をしていた。だが、すぐに表情を戻してリビングの扉に向かって歩き始める。

「光瑠様、どこへ?」

「あ、悪いな洸汰。暫く、1人にさせてくれ…。多分、部屋にいる。」

光瑠は、皆にそう告げてリビングを出て行った。光瑠の背中は、寂しさが感じられた。何も言えない洸汰は、黙って頷くしかなかった。

やがては、柚姫は黒子達の方を見て言った。

「私達と再会みたいだけど、ごめんね。記憶がなくて…。今は、何も言えない。」

「そ、そんな事ないよ!!」

桃井は、慌てて柚姫の両手を包むように握る。桃井の行動に少々驚きを隠せない柚姫。桃井の真剣な瞳が柚姫を捉える。

「だって、約束したんだよ!また、会おうねって。だから……だから……。」

桃井の瞳から大きな粒…涙が流れ始める。桃井は、涙を流しながらも柚姫に微笑みを見せ掛ける。
/ 107ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp