第4章 記憶と鎖
「しかし………。」
どこか納得しない洸汰に賢次は、洸汰の右肩をポンと手を置く。
「洸汰は、優しいですね。だけど、覚悟を決めなくてはなりません。此処を任せます…。」
賢次は洸汰に微笑んでそんな事を伝えて、リビングを出て行く。その様子を見ていた洸汰は、分かった…と呟いていた。
「質問いいですか?」
「なんだ?黒子。」
黒子は、光瑠の方を見て言うとそれに反応をする光瑠。
「話によれば、此処はかなり朽ちたと言っていました。でも、戦いの跡がありません。」
「あぁ…。それが、俺にも分からない。どうやら酷かったらしいがな……。」
黒子の言った通りに、此処の城はかなり朽ちていたがそれが全くない。光瑠も目覚めた時は、綺麗な状態だったという。
ある意味、謎のままだった。とりあえずは…と言葉を漏らした光瑠は、席を立ち皆から少し距離をとり左手に、刀を握る。
やがては………。
「はっ!!」
自分自身に絡み付いている金色の鎖に向かって斬り掛かる。しかし、キーンッ!と鳴るばかりで鎖が切れる様子などなかった。光瑠は、不機嫌な表情をしながら刀を鞘に収める。
「本当に……邪魔だ。この鎖は………。」
柚姫も同じように、腕や足に付いている金色の鎖を見ていた。だけど、光瑠より柚姫の方が鎖の数が多い。
「なんだろうね、この鎖は…。」
柚姫は、手首に付いている金色の鎖を引っ張るがビクともしない。やはり、頑丈に出来ている。すると、柚姫は、何かを感じ取り動きが止まる。