第4章 記憶と鎖
記憶がなくても光瑠の性格は、何一つ変わっていない。柚姫もそうだ。自分の事よりも他人を優先にする。
記憶以外、何も変わっていなかった。
「光瑠様が謝る必要はありません。私達の方が無力です。その為…光瑠様や姫様が今、辛い想いをしている筈です。」
「俺達は、心から姫様や光瑠様を守ると誓った身です。けど、何も…。」
賢次と洸汰の想いを聞いていた柚姫と光瑠は、今まで黙っていたが苦笑をする光瑠。光瑠はチャキ…と腰に掛けてある刀に軽く触る。
「何も守れてないとか、言うなよ?ちゃんと、守れてるぜ?自分を誇りに思えよ。大丈夫だ。」
光瑠の言葉に、隣に座っている柚姫はクスクスと笑っていた。
「お兄ちゃんの言う通りですよ?自信を持って。」
賢次と洸汰は、お互いの顔を見てから、はい…と短く返事をする。すると、ちょっといいかしら?と光瑠と柚姫に話掛ける実渕。
「この辺に、突然変異を見なかったかしら?全然見てないような気がするけど…。」
「確かに見てねぇな…。」
実渕の言った言葉に、同意をする笠松。賢次と洸汰が、いた場所は突然変異が現れない場所だ。しかし、今この場は、一週間前まで突然変異がいた。
だけど、一匹も見当たらない。その時、光瑠はあぁ~…と言葉を漏らし言った。
「それだったら、お前らが来る前に一匹仕留めた。多分、アイツが突然変異じゃないか?」
記憶が曖昧な為、どれが突然変異なのか分からない光瑠だったが、それらしき居たという事を伝える。