第4章 記憶と鎖
だがやはり、術の鎖のせいか思うように動けない柚姫。鎖は、とても長く城内だったら、動けるみたいだ。
そして、柚姫は光瑠の顔を見て首を傾げる。
「貴方、誰?」
記憶がないせいで、自分の兄だという事も忘れている。こんな最悪な状況などない。それでも賢次は、優しく柚姫に語り掛ける。
「姫様、この方は貴方様の兄です。そして、逆に言えば姫様は光瑠様の妹君ですよ。同じ血を持っている家族ですよ。」
「………私の兄……?」
「コイツが…俺の妹?」
記憶ないせいで、柚姫と光瑠はお互いの顔を見て凝視する。まるで初めて見るような様子で伺っているに感じる。しかし、この2人にとってはどこか懐かしいような雰囲気を感じていた。
「えっ…と…。お兄……様?」
柚姫の疑問系で光瑠に呼び掛けた為、光瑠はふっと急に笑い出す。急に笑い出した為、柚姫は目を見開く。
「な、何…急に……。」
「す、すまねぇ。けど、様を付けないでもらいたい。普通に呼んでくれ。柚姫。」
まさかの光瑠からのお願いがきた。光瑠は、様を付けられるのが嫌なみたいだった。その証拠なのか、少しだけ苦笑を浮かべていた。
「ですが、いつもそう呼んでおられましたよ?」
賢次は、光瑠にそう伝えると光瑠はそうか…と腕を組ながら静かに答えるがそれでも首を左右に振る。
「よく分からないが…けど、嫌なんだよ。」
「分かりました…。お兄…さん…。んー。違う…。お兄…ちゃん。お兄ちゃん!!」