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異世界の住民2【黒子のバスケ】

第4章 記憶と鎖


謎の部屋から暫く歩いて、やがて光瑠の足が止まる。それは、まるで…ここだ…と示しているようにも聞こえる。

光瑠の目の前には、大量の鎖に繋がれていて、横たわる女の子。黒子達と同じ歳ぐらいの女の子。流石に、その姿を見た皆は茫然となるばかりだ。

「姫様ッ!!」

一番最初に飛び出したのは、洸汰だった。そう、この人物こそ皆が探していた柚姫だった。洸汰が呼び掛けてもピクリとも動かない。

柚姫の身体中に、光瑠と比べられない程の鎖が巻かれていた。

「姫様、姫様!目を開けて下さい!!」

「落ち着きなさい、洸汰。姫様は呼吸をしています。大丈夫です、ちゃんと生きています。」

賢次の呼び掛けに動きが止まる洸汰。よく見ると、柚姫はちゃんと呼吸をしている。生きている証拠だ。

桃井は恐る恐る、柚姫に近づき優しく柚姫の手を包むように握る。

「柚姫…。目を開けて?約束したじゃん…。」

桃井の言葉に、ピクリと僅かに柚姫の手が動く。桃井は、飛びつくようにもう一度柚姫の名前を呼ぶ。すると、うぅ…と苦しげな声をあけながら柚姫の瞳がゆっくりと開いていく。

「姫様!」

「柚姫!」

柚姫は、声が聞こえる方向へと顔を向ける。その表情は、どこか疲れているようにも見える。やがて柚姫の口がゆっくりと動く。

「…………誰?」

光瑠と同様に記憶がなく残酷な言葉だった。
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