第9章 決着のとき……
光瑠に心臓を貫かれても、なお生きる突然変異の杲良。だが、動く力などは既に残ってもいない。
「お前は、自分自身で突然変異になってしまった。力に目覚めたかと思ったのだが…最悪な方向へと向かってしまった。お前は、人間には戻れない。残念だ、同じ神禮家で兄弟だったのにな…。」
剛也は、悲しげな声で杲良に語り掛けていた。今まで聞いていた、理彩は柚姫と光瑠に微笑みながら言う。
「柚姫、光瑠。貴方達が、犠牲になることはありません。貴方達には、まだやることがありますよ。突然変異の撃退は、皆で協力し合えばいいのですから…。」
確かに、今まで通りにやっていけば生き延びられることはできる。しかし、いつまで経っても平和が訪れることは、可能性としては低いだろう…。
「しかし、お母様―――」
「柚姫。貴方が言いたいことは分かります。ですが、神禮一族には縛られないで下さい。もう、自由なのですよ。」
「お母様…。」
「光瑠も、そうですよ?分かりましたか?」
「………はい、母様。」
理彩の優しい声で、先程、2人が考えたことをやめさせたのだ。そして、剛也は賢次、洸汰、優花の名前を順番に言う。
言われた3人は、それぞれ、はい、としっかりした声で返事をする。
「お前達、柚姫と光瑠を頼んだぞ。俺達は、そろそろ時間だ。コイツと共に、消える。」
「私達は、皆様方に仕えて良かったと思っています。剛也様のお願いしかと承りました…。」
3人の代表で言うのが、賢次だ。