第9章 決着のとき……
光瑠の一言に、その場が凍り付く。それは、柚姫も考えていた。剛也は、難しい表情をしていた。
首を左右に振るわけでもなく、かと言って首を縦に振るわけでもなかった。流石の剛也でも、そこは難しい判断らしい。
「肯定はしないが…もしかしたら…という可能性はある。」
剛也の一言に、皆の表情は、苦しげな顔をしていた。だが、柚姫と光瑠の表情は変わらなかった。
どこか覚悟を決めていたのかもしれない。
「…分かりました。俺達…神禮一族の命が絶てば、この世界の人達は助かるかもしれない…。だったら―――」
「光瑠様!!おやめください!!」
光瑠の言葉を塞ぐように、声を張り上げる優花の姿は、今でも泣きそうな表情をしていた。
その表情を見た光瑠は、優花と弱々しく名前を呟いていた。
「姫様も…考えていたのですか…?」
「えぇ…、皆が助かるのなら…死んでも構わないと…。」
柚姫の真剣な瞳でそんな事を言ったら、洸汰の表情は驚きと怒りへと変わった。
「なんで…。なんで…。光瑠様と姫様は、こんな目に合わないといけないんだよッ!!」
「……洸汰。」
「そうだよ~、柚ちん達がこんな目に合うのはおかしいよ~…。」
「敦の言った通りだ。こんなのは、俺でもおかしいと思うよ。」
皆の反対意見で、完全に黙ってしまう柚姫と光瑠。何も言い返せないのだ。自分の身を犠牲にして、喜ぶ人などいないのだから…。
「…道連レ…ニ…シテ…ヤル…。」