第30章 アメリカの時間2
殺せんせー「だからこそ…
想いは、とても美しくあると同時に儚い…
死ぬことで消えることなどない
ですが…
死に、時間が過ぎ…
それと共に、忘れ去られてゆく…
最小限の情報を、残しながら…
それまでの想い、それまで越えてきた障害
それらすべては
書いたりなどの形で遺さなければ、先へは伝わり続けない…
だからこそ…
この時間は、必要な「大切な時間」なんですよ…
くだらないことから、温かいこと
明るく、笑顔でいられることまで…
全てが、一つの時間であり
出来事であると同時に…
見落としてはいけない、大事なものまであるはずだから…」
渚(そう、目を細めながら…
殺せんせーは…
必死にぶつかり合う二人を、優しく見つめた…
僕は…
止めることが出来ないのが、
傷付いていく二人を、見ていることしか出来ないことが
歯がゆくも感じられた…
けれど…
僕らにとっても、大切なことだって解った…
それと同時に、見つめ続けていた…
二度と、失わないよう…
繰り返させないように…
焼き付けるようにしながら…)
その10分後…
殴り合い始めてから、1時間で…
やっと二人は、闘いをやめた…
ケイト「ぜえぜえ;」
カルマ「ぜえぜえ;」
ケイト「ちらっ)」
カルマ「…」
互いに、互いを見つめる…
カルマ「…あんたは、自分が大事じゃないの?」
おもむろに、カルマはつぶやいた
ケイト「…大事じゃない。
それでも、大事にする大切さは解ってる…
それでも、それよりも私は…
その皆に、笑顔で…幸せでいて欲しい……
それ以外、無いんだよ…」
カルマ「…(目を伏せながら溜息)
…
やっぱり、あんたはバカだよ。
バカちゅうのバカ…
それでも…
俺は…」
ケイト「…伝わってるよ…ちゃんと…
だけど…
もともとが、相手が幸せでいて欲しいってバッカなんだ…
ずっと…そうだった…
それが、いじめが…
環境が要因で、苛烈になっただけなんだ…」
そううつむくケイト…