第29章 アメリカの時間
それから…
二人は、抱き締め合ったまま離そうとしなかった…
ケイト「…ごめん;
プールに行くはずが;腕も;」
カルマ「別にいーって
それよりケイトでしょ?大丈夫?」
ケイト「…そういう風にさらって言える所…
本当に、良かったって思うよ」
カルマ「俺もだよ(微笑)
ケイトが居なかったら…
きっと、俺は猪にやられてた
ケイトが居なかったら…
俺の世界は、狭いままだった…
ケイトが、拡げてくれたんだよ…
ずっと、退屈していた
俺の心も、全部さ…(微笑」
ケイト「…私も…
ずっと、自分なんかが幸せになっちゃいけないって思ってた
ずっと、人よりも
自分の方が無価値で、いない方がいい存在だって…
そう言われ続けてきた
そうけなされ続けて、味方なんて一人もいなかった…
否定する人もいなければ
そんな私の『存在の否定』を、肯定する人しかいなかった…
これからも…
ずっと、そうなんだって…
だから…
自分なんて、どうなってもいいんだって…
そう思わなきゃ、生きていけなかった…
そうじゃなきゃ…申し訳なかったんだ…
自分だけ生き残って…
自分が存在していたことで、
いじめてきた人を、悪いことをした人にさせて…
生きてて…
ごめんって…
ずっと、思ってた…
そう思いながら…
それでも、必死に生きてきた…
でも…
違っていた…
幸せになっていいんだって…
望む人が、家族以外にもいたんだって…
カルマにはたかれて
抱き締められて…
愛されて……
やっと…解ったんだ…」
その言葉と共に
涙が、つーっと頬を伝って流れていった。
ケイト「こんな…
迷惑をかけてばっかりな、私だけど……
生きて…いいのかなって…;
少なくとも…
それを望んでくれる人達がいて……
それが、本当に嬉しくて…
感謝と、心配かけたりとかの申し訳なさだとか;
そういうのしか思い浮かんでこないんだ;;」
そう言いながら、その涙が流れ出る目に手を当てて拭い
それでも、想いと共に紡ぎ続けるケイト…
そんなケイトに…
カルマは、頭に右手を置いて
軽くポンポンとした後、優しく撫でていた…
優しい微笑みと共に…